岡野オルガンとは

岡野オルガンとは

 

「 岡野オルガン」という楽器は礼拝奏楽、讃美歌伴奏のために作られている電子オルガンです。アナログ方式の独立音源楽器という限定では、現在、世界唯一の種類に分類できます。注文によって製作されるオルガンですので楽器店にはありません。

 さて、アナログというのは「繋がり」「連続」のことです。

対立概念はディジタルです。1か0かと「数値化」されたデータを高速処理する技術のことで、現代の電気機器の大多数で採用されている、正確で効率的な手法です。

 しかしながら、岡野オルガンでは採用しておりません。その理由を語る事が岡野オルガンの特色を語ることになると思います。

 

 アナログ独立音源オルガンは押鍵によって音源にエネルギーを与えます。パイプオルガンで鍵盤を押すとその鍵盤に対応するパイプに風が吹き込むのと同じように。

 音源はエネルギーを受け取って、その音源が持っている性質の鳴り方でその都度「連続的」に発音します。音の出方をグラフで表すと、切れ目の無い奇麗な曲線になります。音の鳴りだしから鳴り止みまで連続していて途切れません。

 これに対して、ディジタルサウンドを正確なグラフで表すと、微小な直角段差が無数にある「折れ線グラフ」になります。

ディジタルの手法は映画に似ています。人物の細かい動きを、1秒間30コマの分解写真としてパラパラ漫画のように映し出すと、目には連続して動いているように見えます。実は1秒間に30回の途切れとぎれの写真がスムースに

動いているように見えるのは網膜の残像現象のせいですが、聴覚ははるかに敏感、繊細です。1秒間3千回の途切れがもしあったなら聴いていられない強烈なノイズとして聞こえます。3万回でもキーンッというノイズです。30万回なら人の聴感覚の聞こえる範囲が20キロヘルツあたりと言われていますから影響は無いかと思ったらまだあります。何となく遠くで紙袋をクシャクシャと潰しているようなノイズがほんの僅かに聞こえるような気がします。聞こえないという人のほうが圧倒的に多いので差し支えないだろうという事情でこの技術が普及したのだと思います。

 確かに100万回を超えるくらいになると電波の帯域になってきますから通常の聴覚では聞こえません。が、1か0かの2進法による1秒間100万回の計算で、オルガンの最高音部の8000ヘルツくらいの音波を分析しようとするのは難しいでしょう。自然音であるパイプの8000ヘルツにはその2倍3倍4倍それ以上の倍音が含まれていてその倍音成分までは正確に解析出来ませんから。美しく澄んだ高音の表現は現在のディジタル技術が未だ到達していない領域であると思います。

 

 これらの事情から、古典的オルガンの性格とは共存し難いという理由で、ディジタルは採用せず、岡野オルガン工房としては、時代遅れとの批判を覚悟で敢えてアナログオルガンを作り続けているというのが我々のこだわりな

のです。

          ”アナログの連続音は美しい”